認知症になると、なぜ空き家の話が止まるのか
認知症と空き家の問題は、
家そのものではなく“決められなくなる瞬間”から始まります。
親が施設に入り、
実家が空き家になったとき、家の話が急に止まることがあります。
壊れているわけでも、家族が揉めているわけでもないのに、話が進まなくなるのです。
親が施設に入ったあと、実家に誰も住まなくなる。
いわゆる空き家の状態です。
本来なら、
売却するのか、
貸すのか、
管理を続けるのか、
いくつかの選択肢があります。
けれど実際には、家の話が思うように進まないことがあります。
建物が壊れているわけではない。 家族が大きく揉めているわけでもない。
それでも、話が止まってしまう。
その理由は、家そのものではなく、 「決められる人」がいなくなることにあります。
本人の意思と手続きの確認
家の名義が親のままでも、親の判断能力が低下してしまうと、売却や賃貸、解体といった大きな手続きは簡単には進められません。
本人の意思を確認できないまま、家族だけで自由に決めることはできないからです。
この状態になると、家は静かに止まります。
将来の備えを考える
そこで出てくるのが、成年後見制度や家族信託という言葉です。
成年後見制度は、判断能力が低下したあとに、本人を支えるための大切な制度です。
ただし、申立てから開始まで時間がかかることがあり、不動産の処分にも家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。
一方、家族信託は、親が元気なうちに「この家をどうするか」「誰が管理や判断をするか」を決めておく仕組みです。
認知症になったあとに慌てるのではなく、止まらないように前もって備える考え方です。
ただ、制度を知ればすぐに解決するわけではありません。
家族で話しておきたいこと
本当に大切なのは、家族で話せるうちに話しておくことです。
親はこの家をどう思っているのか。
できれば残したいのか。
いつかは手放してもよいと思っているのか。
誰に負担をかけたくないのか。
猫やペットがいる場合、その子の暮らしはどうするのか。
こうした話は、いきなり結論を出そうとすると重くなります。
だからこそ、まだ決めなくてよい段階から、少しずつ整理しておくことが大切です。
まず状況を整理する相談へ
行政書士が関われるのは、制度を押しつけることではありません。
後見が必要なのか、信託を考える段階なのか、それともまず家族で話す準備が必要なのか。
その手前の段階から、一緒に整理することです。
家の問題は、単に「売るか、貸すか」の話ではありません。
誰が決められるのか。 いつまで決められるのか。
早めに状況を整理することが、次の手続きを考える助けになります。
親が元気なうちに。
まだ話せるうちに。 急いで決めるのではなく、まずは家の話をしてもよい空気をつくる。
それが、空き家を止めないための最初の一歩です。
次に読む・相談する
この記事を読んで、「自分の場合はどう考えればいいのだろう」と感じた方へ。
猫のこと、家のこと、相続や手続きのことは、ひとつだけを切り離して考えるのが難しい場合があります。
まだ何も決まっていなくても、家族に話せていなくても大丈夫です。
まずは60分、今の状況を一緒に整理してみませんか。
